医療情報技師という資格について

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医療情報技師(いりょうじょうほうぎし)という資格をご存知ですか?

日本医療情報学会が資格付与する民間資格です。2003年に始まったので現時点で15年ほどの歴史があるようです。

この資格ですが医療情報を取り扱う権威のある、医療情報学会によれば、

保健医療福祉専門職の一員として,医療の特質をふまえ,最適な情報処理技術にもとづき,医療情報を安全かつ有効に活用・提供することができる知識・技術および資質を有する者.

と定義されています。

医療機関において適切にシステム企画、導入するためには医療・情報処理両方の知見を持った者が居たほうが良いということで生まれた資格です。


医療情報技師に上位資格が存在する?


医療情報技師には医療情報技師とは別に「上級医療情報技師」が存在します。

しかし、医療情報技師資格を取得してから5年が上級の試験資格となっていますので、まずは医療情報技師資格を取得する必要があり、上級を意識する必要はありません。


医療情報技師資格は更新制


医療情報技師資格は5年間の更新制度になっています。

各勉強会、イベント、部会が主催しているE-ラーニングに参加すると付与されるポイントを50点集めると資格が更新資格を得られます。

医療機関に5年属している場合、この50点が申請により25点に軽減されます。


医療情報技師って需要はあるの?


実は医療機関では、情報処理の知見を持つ人を欲しています。

医療業界は元々情報処理に強い人材が少ない業界です。一般事務レベルでもExcelの利用がおぼつかないレベルの職員も散見されます。

そのような環境の中、医療業界では2025年問題に向けて電子カルテ導入を始め各関連業務において、医療機関の内外問わず、急速に電子化が進められています。

しかし前述したように、業界そのものにコンピュータに詳しい人が少なく、医師やコメディカルがその任を兼務する事も多いため、本業兼務で保守もままならず。スピード感がなく一向に電子化が進まないという問題が噴出しています。

また、ベンダの言いなりで本来必要の無かった機能をもったシステムを高額で導入される事もしばしば。そういった背景から医療情報技師のニーズが多様に存在しています。

民間におけるISO認定に似たような、公益財団法人日本医療機能評価機構が実施する医療機能評価という認定が存在します。

この認定は取得すると医療機関が外部の印象を良くするために取得しようとしますが、一度認定をとると定期的に更新を受けねばならなく、その評価項目の中に「医療情報技師はいるか?」という評価項目があります。定期査定の環境は中々にシビアで、少しでも印象を良くしたいという点で、「いる」場合には査定官の印象が良くなる傾向があります。

一般的な転職サイトでも求人を見かけますが、日本医療情報学会の公募情報でも多くの求人が紹介されています。


医療機関で医療情報技師として働くというのはどういう事?


医療機関で働く情報系職員は院内SEと呼ばれています。仕事をする相手としては所属する職員が主体です。

◯電子カルテ・オーダリングシステム

医師、看護師

◯各部門システム(PACS、薬剤管理、検査、食事等)

コメディカル(放射線技師、検査技師、薬剤師、調理師)

◯医事経理システム

医療事務

が対象ユーザーとなります。他にも一般企業における経理、人事給与システム等ありますし、電話等のインフラも面倒を見て欲しいというニーズもあります。

医療系システム+一般系システムとサポート範囲は広くなります。

●通常時

各システムにおける不具合の一時切り分けや、それに対するベンダ問い合わせ、サブシステム構築、基幹システムの管理メンテ等。

広く浅く知識が求められます。

診療時間はほとんどが保守や問い合わせに対応する時間となりますし、病棟をもつ医療機関であれば、時間に制約はなくトラブルが続くようでしたら、かなり忙しいです。

●導入時

仕様決定、ベンダ選定、内部調整、マスタ構築等。

各部門との調整が主だったところで、調整半分、仕様ぎめ半分と言った所でしょうか。企画導入という視点で仕事ができます。


医療情報技師として働く事に向いてない人/向いてる人


-技術志向の人は向いてない

IT業界でプログラマーでゴリゴリと技術を追いかけてきた人、これからも追いかけていきたい人。多分向いてません。

多分、応対する相手は非常に自分からは遠いITスキルの方ばかり。加えて保守的な経営も多く先進的なシステム導入というのは簡単には行える環境が無いでしょう。

また、アプリ開発に専念したいなど、一つの事を深掘りしたいというような方には向いていなません。上流・下流と呼ばれる業務分担なんてほとんどありません。簡単なことから難しいこと業務別け隔てなく何でもやるようなマインドでないと続けていく事が厳しく感じられるでしょう。プリンタの紙詰まり対応なんて日常的ですので技術的志向が強い方にはアレルギーではないでしょうか?

-インフラ系、コールセンター、製造業出身の人は向いてる

業務のほとんどは泥臭い仕事ばかりです。LANケーブルを自作したり、Excelの多重起動を修正したりなど、これスキル要る?って感じる事もあります。

インフラ系の仕事をしてきた方、コールセンター出身の方は聞き取り上手ですし、自分と相手に対するストレスコントロールが上手なので向いています。

また、業務の流れが人の動線を意識した動きになるので、製造業でシステム系の仕事をしてきた方は違和感なく仕事に入っていけるでしょう。

-大事なこと

コミュニケーション能力です。

不具合のコールが鳴ったら電話越しで解決するのではなく、現場に息切れする演技をしながらw行くのが大事です。

この辺どうしてもコンピュータ仕事をしてきた人にとって非常に難関な能力だと思います。

社内SEにも同じことが言えると思いますが、同一組織の職員が対応相手ですので、気心もしれている部分もあります。相手も言いたい放題ですので、

受け流したり、相手にストレスを感じさせないよう、うまく立ち回れるコミュニケーションが能力は必須です。


受験料


受験料は15,000円(消費税込)

科目合格、翌年持ち越しも認められていますが、再試験は例外はありますが同額です。

科目合格は2年間有効です。


試験内容


◯情報処理技術   (50問、100点満点) 60分

◯医療情報システム (60問、120点満点) 90分

◯医学・医療    (50問、100点満点) 60分

試験方式:各科目とも5択のマークシート方式

おおよそ朝9:30から始まって、昼休憩をはさんで夕方16:30程度に渡り長時間の試験になりますので、集中力を保てるかがカギになるでしょう。


勉強方法


科目は記事作成時点で3科目あります。

マークシート方式ですので、候補の消し込みを意識しました。

◯情報処理技術系

「基本情報処理技術者」午前の部の筆記が解けるレベルでしたら合格ライン。

四則演算、一般的なセキュリティ、SQL文法等が出題されました。

参考ボーダー 50点

◯医学医療系

生学、人体構成、腫瘍マーカー種別等、出題されました。

馴染みが無かったので僕はこの科目が一番厳しかったです。

参考ボーダー 50点

◯医療情報システム系

電子カルテの運用、オーダリングの運用、医事会計の仕組み、セキュリティ間違い探し等が出題されました。問題数が多い為、医療機関における医療システムの運用について広く浅く出題されました。

参考ボーダー 50点


勉強に使った参考書


僕は、過去問のみ繰り返し行いました。情報処理については自信がありましたので、医学医療と医療情報システムを中心に勉強しました。


最後に


完全に僕の所感ではありますが、医療分野における情報システムは未成熟です。

中にはとてつもなくデジタル化された職場もありますが、400床以下の医療機関のほとんどはアナログな環境が残されていて、まだ現役で運用されています。

多くの業務がシステム的に標準化はされておらず、独自性というのが各医療機関であります。そういった意味で伸びしろというのはまだまだある業界です。

また、僕が感じたのは製造系の考え方がフィットします。人間の動線を意識した業務フローのため、さながら工場現場にいるような印象を受けました。工場系で働いてきた方には医療業界というのはしっくり来るのかもしれません。

どのような医療機関であってもなにかしらのシステムは導入されています。切っても切り離せない関係にあります。

医療事務という選択肢もあるでしょうが、僕はこの先、事務専任はなくなっていくような仕事だと思います。

医療系の知識を持ちつつも、情報系の知見があるような人が医療機関で必要とされていくと思います。

医療機関での情報系職員として就職を目指している方がおられるようでしたら、現場の確認は必ず行うようにして下さい。理想と現実の剥離を少なくすることが出来ます。この辺一般企業では中々無いと思いますが、現場見学というのは許されている医療機関が多いですので。

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